
【超朗報】アルツハイマー病を「発症6年前に100%の確率で発見できる」AIが誕生!
自然言語処理よりも、精度が出しやすいとされている画像認識技術。
AIによる病気の画像診断はいずれ人間の目を凌駕すると言われてきましたが、新たに発表された研究はその実例の一つになります。米国の大学がアルツハイマー病の発病を4~8年前に正確に予測するAIを開発しました。しかもその正確性は、小規模なテストでの結果ではあるというものの、なんと100%であったとのことです。英「Daily Mail」ほか、多数メディアがこの驚きの研究を報じています。
100%アルツハイマー病を発見したAI
アルツハイマー病は高齢者における認知症の最大の原因といわれる進行性の脳疾患で、記憶や思考能力に徐々に障害が現れ、最終的には日常的な簡単な作業もできなくなります。原因の一つは脳に蓄積するアミロイドβというタンパク質とされており、沈着したタンパク質の影響でやがて脳の神経細胞が変化して機能しなくなるようです。現在のところ治療法はないが、早期発見で対策すれば発症を遅らせることは可能ともいわれています。
米カリフォルニア大学サンフランシスコ校の放射線医学や画像診断の研究者らが今月6日に専門誌「Radiology」に発表した論文によると、人の目では知覚できない微妙な脳の変化をAIに学習させることで、数年後にアルツハイマー病を発病する患者を診断することに成功したといいます。AIは発症の平均6年前にアルツハイマー病を発見でき、小規模なテストではあるが、100%の精度で診断を行いました。
学習データは?
画像は「Daily Mail」より引用
学習には約1000人分の脳スキャン画像約2000枚が使われた。画像はFDG-PET(18-F-fluorodeoxyglucose positron emission tomography)という特殊なイメージング技術を用いて撮影されたもので、アルツハイマー病の脳に起こる代謝の微妙な変化を捉えられるという。
今のところ原因は不明であるが、アルツハイマー病の脳ではグルコース代謝に異常が起き、グルコースをエネルギーとして吸収できなくなるという。この変化は早期から少しずつ脳の中に広がっていくというが、人間にはその微妙な変化を捉えることは難しい。
そこで研究者たちはAIに期待をかけた。そして大量の画像で学習を積んだAIは、脳の中で起きているごく微妙な代謝変化の兆候をとらえ、見事アルツハイマー病を検出できるようになったのである。著者らは今後も同様の手法でAIを学習させ、アルツハイマー病にに特異的なアミロイドβやタウタンパク質などが脳に沈着するパターンなども検出できるようにしたいと考えている。
アルツハイマー病は発症してからでは脳の萎縮が大きく、治療の手立てもない。だが、FDG-PETとAIによる画像診断でアルツハイマー病を早期発見できるようになれば、進行を遅らせたり停止させたりする方法を見つけることができるかもしれないという。高齢化が進む日本では、認知症は大きな社会問題の一つである。アルツハイマー病を治療することができれば、患者本人のみならず、家族や医療・介護関係者も大いに救われることだろう。研究の進展に、世界中から大きな期待が集まっている。
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